2014年3月5日水曜日

日本・北朝鮮赤十字会談に複雑な思い:韓国政府に懸念の声も、ウカレ統一はどうなる?

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●アメリカから強い要求を受けて、日本では安倍首相が「河野談話を見直さない方針」であると国会答弁し、ようやく米日韓3か国の首脳会談が可能となった。背景には複雑に絡む北東アジア情勢がある。写真は中朝国境38度線の板門店。


聨合ニュース 2014年 03月 05日(水)
http://japanese.yonhapnews.co.kr/relation/2014/03/04/0400000000AJP20140304003600882.HTML

韓国政府 日朝赤十字会談に複雑な思い=懸念の声も

【ソウル聯合ニュース】
 日本と北朝鮮が赤十字会談を機に事実上、政府間交渉を再開したとの分析が出る中、
 韓国政府は今回の会談の評価に慎重な姿勢をみせている。

 韓国外交部当局者は4日、日本と北朝鮮が政府間交渉を再開したのではないかとの質問に
 「発表された内容以上のさまざまな可能性について評価するのは適切ではない」
と答えた。

 これは日本と北朝鮮が赤十字会談を通じて北朝鮮内の日本人遺骨問題について協議したと明らかにしているだけに、韓国政府が先に他の問題に関して予想して対応はしないという意味として受け止められる。
 基本的に今回の会談が赤十字主体で行われ、人道的問題が議題となったためだ。

 韓国外交部の趙泰永(チョ・テヨン)報道官は4日の定例会見で
 「日本と北朝鮮間の人道的問題の解決を韓国政府も支持している」
と述べた。

 また同部の趙太庸(チョ・テヨン)第1次官は前日、記者団に対し、
 「課長級の当局者が同行したが、当局間で会談をするわけではなく、亡くなった方に対する話だけすると(日本は)線を引いている」
とした上で、
 「日本側から事前に連絡があり、結果報告もすると言われている」
と明らかにしている。

ただ、韓国政府内では日本と北朝鮮の接触に対し懸念する見方も多い。

 国際社会からの圧力により外交的に孤立している北朝鮮が、そこから抜け出すために行っている全方向の対話攻勢に日本が国内政治的な理由により呼応することで、北朝鮮核問題に共に対応しようとする枠組みが揺れ動く可能性があるという理由からだ。

 一部では日本が韓国政府に関係改善を迫るために北朝鮮との接触を増やすのではないかとの見方も提起されている。

 韓国政府は日朝の接触について
 「日本人拉致問題など日朝間の協議は、北朝鮮の核・ミサイル問題と同様に、韓米日間の緊密な連絡と協議のもとに対応する必要がある」
との立場だ。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/03/20 09:37
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/03/20/2014032000910.html

日本「拉致問題解決なければ経済制裁緩和は不可能」
日朝、中国で2回目の赤十字会談
安倍首相「めぐみさんの家族の面会、北朝鮮の変化と考えられる」

 日本赤十字社と北朝鮮の朝鮮赤十字会による実務者会談が19日、中国遼寧省瀋陽市で行われた。
 今月3日にも行われた同会談は、表向きには第2次世界大戦の敗戦前後、現在の北朝鮮で死亡した日本人の遺骨の返還や墓参がテーマだった。
 だが実質的には、北朝鮮による日本人拉致問題や、経済制裁の緩和などについての協議を行うための、政府間の予備会談といえる。

 この日の会談には、日朝の赤十字当局者のほか、双方の外務省の課長も出席し、20日までの日程で非公式の協議を行った。

 日本と北朝鮮は3日の赤十字会談でも同様の協議を行い、拉致被害者・横田めぐみさん(拉致当時13歳)の両親と、めぐみさんが北朝鮮で産んだキム・ウンギョンさん(26)の第三国での面会を実現させた。
 当初、平壌での面会を提案した北朝鮮が日本の要求を受け入れ、めぐみさんの両親は今月10-14日、モンゴルでウンギョンさんと面会した。

 北朝鮮の譲歩は、韓米日3カ国による対北朝鮮制裁に揺さぶりをかけ、日本による経済制裁の緩和を実現するためだ。
 日本は北朝鮮の核問題と同じくらい、拉致問題を重要視している。
 安倍晋三首相は19日、めぐみさんの家族の面会について、北朝鮮が変化を見せたものと評価し
 「核問題だけでなく拉致問題も解決してこそ、北朝鮮が国際社会に復帰できる」
と述べた。

 古屋圭司・拉致問題担当相も
 「拉致問題が解決しなければ、経済制裁の解除や支援は不可能だ」
と発言した。

 北朝鮮は、日本が主張する拉致被害者のうち5人を帰国させた一方、残りの被害者については「死亡」または「入国していない」と説明している。
 日本政府はこのような北朝鮮の立場を考慮し、拉致被害者の再調査という妥協策を示したという。
 北朝鮮が再調査に積極的に応じた場合、日本政府は経済制裁を一部緩和するとの見方も出ている。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/03/21 08:25
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/03/21/2014032100626.html

日朝局長級会談、16カ月ぶりに再開へ

 日本と北朝鮮は19・20日の両日、中国遼寧省瀋陽市で行われた赤十字当局による実務者会談と外務省課長クラスの非公式協議で、双方の局長クラスによる政府間協議を再開することについて合意した。
 非公式協議に出席した日本政府の関係者は
 「会談は建設的に進められ、早期に局長級会談を開催することで合意した」
と発表した。

 日朝両国の局長級会談は、2012年12月に北朝鮮が行った弾道ミサイル発射を受け、日本側の意向で中断していた。
 つまり、今回の措置は、北朝鮮の核やミサイルの問題に進展が見られない中、
 日本政府が北朝鮮との対話に積極的に乗り出したというわけだ。

 これは、日本政府が韓国や中国との外交面の対立を「北朝鮮カード」によって打開するとともに、安倍晋三首相が任期中の解決を公約した日本人拉致問題を早期に解決する狙いがあるためだ、との見方が出ている。

 一方、北朝鮮は、韓米日3カ国による対北朝鮮制裁に揺さぶりをかけ、日本からの経済支援を引き出すため、対日交渉に積極的な姿勢を見せている。


朝鮮日報 記事入力 : 2014/03/22 08:56
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/03/22/2014032200385.html

朝・日合意発表、韓中首脳会談を意識か
「30・31日に中国・北京で局長級会談開催」

 日本の外務省が21日、「北朝鮮との公式な局長級会談を、30・31日に中国の北京で開催する」と発表した。
 合意からわずか一日で局長級会談の日程を確定・発表するというのは異例だ。
 日本と北朝鮮は、今月19・20日に中国の瀋陽で赤十字実務会談が行われた際、外務省の課長級による非公式協議も併せて行い、ここで局長級会談の開催に合意した。
 当初、局長級会談は4月の開催が有力視されていた。

 来週開かれる核セキュリティーサミット(オランダ・ハーグ)で韓米日首脳会談が行われることから、北朝鮮がこれを意識し、局長級会談の日程を繰り上げたという見方もある。
 外務省は21日、韓米日首脳会談の公式発表に先立って「北朝鮮と局長級会談を開く」と発表した。
 日本と北朝鮮の局長級会談は、2012年11月以来のこと。
 会談では、日本側が北朝鮮による拉致問題の再調査を、北朝鮮側が経済制裁の緩和を、それぞれ主な議題として提示する見込みだ。

 会談には、日本から外務省の伊原純一・アジア大洋州局長、北朝鮮から宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使が出席する。
 伊原局長は今年の初めごろ、ハノイや香港で北朝鮮の関係者と極秘裏に接触していた。
 一方、北朝鮮と日本が会談に積極的なのは、韓国・中国の友好的関係をけん制するため、という分析もある。

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レコードチャイナ 配信日時:2014年3月25日 6時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=85467&type=0

日米韓会談と北朝鮮――北朝鮮は「中韓蜜月」に激怒している

 アメリカから強い要求を受けて、日本では安倍首相が
★.「河野談話(従軍慰安婦問題に関する河野洋平官房長官談話)を見直さない方針」
であると国会答弁し、また韓国ではアメリカから
★.「二股外交をするな」
★.「これ以上日本と歴史問題で争うなら米韓同盟に大きなマイナス」
と最後通牒を渡されて、ようやく米日韓3か国の首脳会談が可能となった。

 日米同盟と米韓同盟の絆を強くすることにより、中ロ、特にロシアに脅威を与えたいアメリカとしては、少しだけアジアにおける存在力を取り戻せたかもしれない。
 しかし日韓が「より」を戻すことが果たして日本にとって非常にいいことかというと、必ずしもそうとは言えない複雑に絡む北東アジア情勢がある。

◆北東アジアに存在するねじれた関係

 というのは、北朝鮮は中国が韓国に良い顔をするのが腹立たしくてならない。
 韓国とはまだ戦争状態にあると位置づけている北朝鮮は、1992年に中韓国交正常化が成立すると激怒した。
 同盟国の中国が最大の「敵国」(韓国)と国交正常化したことになるからだ。
 そのため北挑戦を裏切った中国への報復として、1950年に起きた朝鮮戦争で北朝鮮のために戦った中国人民志願軍の北朝鮮にある慰霊碑を破壊したほどである。

 これに激怒したのは中国のトウ小平。
 「歯向かえるものなら、さあ、向かって来い!」
と一喝した。
 そこで北朝鮮は少しはおとなしくなったものの、それでも中国に対する怒りと不信感はぬぐえていない。

 中国とすれば北朝鮮が滅べば、朝鮮半島は西側諸国陣営として南北統一され、陸続きのすぐ隣りにアメリカ軍が駐留することになる。
 それを嫌っているのを見透かしている北朝鮮は態度を変えなかった。
 そこでやむなく中国は北朝鮮をなだめるべく多くの経済援助を申し出ている。
 こういう経緯の中での中朝関係なので、
 北朝鮮は中国に対して「態度がでかい」のである。

 朴槿恵(パククネ)が大統領になって以来、韓国はまるで中国の属国にでもなったかのごとく、ひたすら習近平に媚びてきた。
 自ら「歴史カード」を持ち出して「歴史同盟」を形成し、中国の対日批判路線に便乗した。
 習近平も朴槿恵の切なる要望を快く受け容れて、伊藤博文を暗殺した朝鮮独立運動家、安重根(アンジュングン)の記念館を、暗殺現場の黒竜江省ハルビンに開館したほどだ。
 自国に建てずに、わざわざ「中国」に建てるという朴槿恵のおもねりは、北朝鮮をさらに刺激した。
 おもねりを受け止める習近平の計算が、米韓共同軍事演習以上に腹立たしくてならない。

 中韓の蜜月に北朝鮮は再び激怒。
 昨年12月には中国に近かった張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長を処刑しただけでなく、「それならお前らが最も嫌っている日本に近づいてやるわ」とばかりに日本に急接近。
 今月19日から日朝赤十字会談が中国の瀋陽で行われた。

 日本には日米同盟がある。
 米国との会談を実現させてくれるのは中国ではなく日本である可能性が高いかと北朝鮮は期待しているだろう。
 六カ国協議への呼びかけも、議長国の中国ではなく、日本の呼びかけなら応じる可能性があるほど、いま中朝関係は冷えているのだ。
 
◆それでも加速化する「中韓歴史同盟」

 一方、ウクライナ情勢で一つでも多くの国を自国側に引き寄せたいロシアは、北朝鮮にも色目を使っている。
 すでに今年2月に、朝ロ両政府は、北朝鮮がソ連時代から抱えてきた総額約110億ドルの対ロシア累積債務を解消することに合意した。
 今後は両政府による共同事業も想定しているようだ。
 
 このような中、日米韓3カ国首脳会談を通して日韓が「より」を戻し、万一にも韓国がアメリカに怒られて中国から離れるようなことでもあれば、北朝鮮にとって日本接近の意義は小さくなる。
 韓国内には38度線で朝鮮半島を分断させたのはアメリカだという「恨み」の痕跡があり、北のミサイルから韓国を直接に守ってくれるのは中国かもしれないという期待感もある。
 だからと言って韓国がアメリカに見離された場合、中国にとっての韓国の価値は低くなる。
 
その意味で韓国が媚中外交を続けていてこそ、日本には別のチャンスが待っているとも言えなくはない。
 折しも3月23日夜(日本時間24日未明)、オランダのハーグで中韓首脳会談がいち早く開かれ、習近平と朴槿恵は「中韓歴史同盟」で一致した。
 ハルビンに安重根記念館を建てただけでなく、西安にも「光復軍」という朝鮮の抗日部隊の石碑を建設中だと習近平は明かした。
 日中戦争およびその後の革命戦争(中国の国共内戦)においても、朝鮮部隊は中国人民軍の前身である八路軍(はちろぐん)に協力している。
 その朝鮮部隊のほとんどは現在の北朝鮮所属だったのだが、この記念碑を習近平は韓国へのプレゼントとして建て、中国国内の愛国主義教育基地の一つに加えていくつもりだ。

 北東アジアには、こういったねじれた関係がある。
 日韓首脳会談を待つよりは、むしろ北朝鮮が中韓に激怒している間に、拉致問題解決に向けて一気に努力した方が良いという日本の課題も見逃せない。

<遠藤誉が斬る>第27回)

遠藤誉(えんどう・ほまれ)
筑波大学名誉教授、東京福祉大学国際交流センター長。1941年に中国で生まれ、53年、日本帰国。著書に『ネット大国中国―言論をめぐる攻防』『チャイナ・ナイン―中国を動 かす9人の男たち』『チャイナ・ジャッジ毛沢東になれなかった男』『チャイナ・ギャップ―噛み合わない日中の歯車』、『●(上下を縦に重ねる)子チャーズ―中国建国の残火』『完全解読「中国外交戦略」の狙い』、『中国人が選んだワースト中国人番付』(4月1日発売)など多数。






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