2014年2月26日水曜日

経済オンチ大統領に振りかかる韓国経済の危機:真冬のように凍りついている内需

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●就任から丸1年を迎えた朴槿恵(パク・クネ)大統領〔AFPBB News〕


朝鮮日報 記事入力 : 2014/02/26 10:37
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/26/2014022601334.html

深刻な内需不振で韓国サービス業は氷河期
【特集】韓国経済、今こそ内需拡大を

 今月19日、ソウル市冠岳区三聖洞にある刺し身料理店に廃業処理業者の1.5トントラック2台が到着した。
 面積99.1平方メートルの店舗は過去6年、ヒラメやクロソイなどを1万2000-2万7000ウォン(約1150-2580円)で販売してきた。
 開業後2年間は1日に100万ウォン(約9万5400円)を売り上げたこともあった。
 しかし、2012年からは店の営業経費も回収できない日が増えた。
 職場での会食や家族単位での外食が急減した結果だ。

 20歳のころに離島から裸一貫で上京した経営者Kさん(42)は「これ以上借金には耐えられない」と話した。
 活魚が泳いでいた水槽はがらんとしていた。
 Kさんは廃業処理業者に冷蔵庫や水槽を10万ウォン(約9540円)で売却した。

 韓国の内需は今、真冬のように凍りついている。
 国税庁によると、
 個人、法人を合計した廃業件数は、2012年に88万9500件を数え、
 09年(84万941件)を6%、04年(73万1159件)を22%上回った。

■高所得専門職にも不況の波

 内需不況の影響は高所得専門職にも及んでいる。
 健康保険審査評価院によると、
 昨年廃業した一般病院、韓医院(韓国伝統医学の開業医)、薬局は5256カ所で、09年の4662カ所を13%上回った。
 また、
 ソウル市で一般再生手続き(担保債権10億ウォン以上の債務がある人が申請する再生手続き制度)を
 申請した302人のうち、82人(27%)は医師(47人)、歯科医(19人)、韓医師(16人)が占めた。

 病院コンサルティング業者のゴールデン・ワイズ・ドクターズのパク・ギソン代表は
 「07年ごろから景気低迷と新人医師の過剰供給で医師の破産が急増した」
と指摘した。
 ソウル市瑞草区の法務士(司法書士)Kさんは
 「ある弁護士は景気が良かった当時に払っていた最高級ベンツのリース料を払えなくなり、保証人になった友人の弁護士に告訴され、処罰を受け、弁護士資格も取り消された」
と話した。

 中産階級が楽しむゴルフの需要も低下が明らかだ。
 韓国ゴルフ場経営協会によると、全国のゴルフ場の18ホール当たり利用客数は、09年の7万3062人から12年には6万3396人へと14%減少した。
 同協会は
 「全国のゴルフ場数は09年の339カ所から12年には439カ所に増えたが、ゴルフ場を訪れる人は小幅な増加にとどまり、経営難が深刻化している」
と説明した。
 現在裁判所の競売に掛けられたゴルフ場は済州カントリークラブなど3カ所。
 昨年もラヘンヌゴルフ場(済州道)、レイクヒルズ順天(全羅南道)、楊平TPC、加山ノブリージュ・カントリークラブ(以上京畿道)が競売に掛けられた。

 ソウル市の世宗文化会館の年間有料会員数も最近3年間で30%減少し、文化・レジャー分野にも北風が吹いている。
 一般タクシーより初乗り料金が1.6倍(ソウル市の場合)高い「模範タクシー」も不況にあえいでいる。
 ソウル市の模範タクシー登録台数は09年の1955台から昨年には1859台に4年間で5%減少した。

■21世紀型の内需産業が停滞

 未来型の新内需産業が登場していないことも深刻な問題だ。
 携帯電話用キーパッドの生産業者を経営してきたチュ・デチョルさん(59)は09年、発光ダイオード(LED)照明が有望だと聞き、業態を転換したが、最近事業を整理するかどうか悩んでいる。

 5年前に55人いた従業員は今では13人だ。
 チュさんは
 「生産したLEDランプを買ってくれる工場や企業による需要が景気低迷でがくっと減った」
と語った。
 建国大新産業融合学科のイ・チョルギュ教授は
 「5年前に政府が有望業種として宣伝していた清掃ロボットも値段が高いという理由で市場が縮小している」
と指摘した。
 高麗大経営学部の李斗熙(イ・ドゥヒ)学部長は
 「不動産、証券市場、サービス業が活発でなければ、カネが回らない。
 消費を抑えている規制や悪法が多過ぎる」
と批判した。

 韓国経済研究院の崔炳鎰(チェ・ビョンイル) 元院長は現状を
 「大海のど真ん中でエンジンが止まった船
と表現した。
 崔元院長は
 「向こうから津波が押し寄せてくるというのに、動力を失った船がぐらぐら揺らいでいる。
 内需産業の構造を画期的に転換しなければ、韓国経済の荒廃化が続く
と警告した。


 反日政策に特化した朴政権には現在の韓国経済不況を乗り越えるだけの力はない。
 韓国が経済不況を克服するにはどうしても日本の力が必要である。
 日本が呼び水になることで、上向く。
 この呼び水を失ったいま、韓国経済はこのまま荒廃していくしかない。
 その状況を何とかマアマアと収めていかれるのは2つの条件があってのことだ。
①.サムスンと現代自動車がガンバッテくれること
②.中国市場が活性化していること
 つまり朴政権はなにもできない、ということである。
 あと4年韓国経済がもってくれれば、朴大統領は「反日の英雄」になれる。
 上の2つの条件が崩れたら「韓国経済を奈落に落とした犯罪者」になる。


朝鮮日報 記事入力 : 2014/02/26 10:36
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/02/26/2014022601330.html

10年間の内需不況、600万人分の雇用機会喪失
【特集】韓国経済、今こそ内需拡大を

 今月19日に取材に応じたクムソン鋼鉄(京畿道高陽市)のキム・ソンゴン代表(48)は、
 「1998年の通貨危機当時、内需景気は今よりもはるかに良かった」
と語った。
 鉄製の事務器具を生産する同社の工場では、プレス機13台のうち、6台に稼働中断を意味する「有休設備」という紙が張られていた。
 キム代表は
 「2年前から注文が急減し、40人いた従業員を半分に減らした。
 今月は初めて従業員に月給を支払えなかった」
と漏らした。

 輸出と共に韓国経済の両輪だった内需市場が今、崩壊しつつある。
 韓国の輸出は、米国発の金融危機にもかかわらず、世界7位の規模を達成し、24カ月連続で貿易黒字を計上しているが、内需市場は極度に冷え込んでいる。

 本紙と現代経済研究院が韓国の
 国内総生産(GDP)に占める民間消費の割合を分析した結果、2003年の55.7%から昨年には50.6%へと低下した。
 消費の割合は過去10年間に低下の一途をたどり、内需不況が広がっている。

 これは同じ期間にGDPに占める消費の割合が拡大した米国や日本など先進国と対照的だ。
 経済協力開発機構(OECD)加盟34カ国のうち、
 GDPに占める消費の割合は韓国が25位だ。

 内需不況は雇用創出を直撃している。
 現代経済研究院のハン・サンワン専務によると、2004年から昨年まで韓国の消費の伸び(年平均2.6%)がGDP成長率(年平均3.6%)並みだったと仮定すると、年間63万5000人分の雇用機会が創出されたと試算されるという。
 内需市場の育成を放置した結果、10年間で635万人分の雇用が喪失した計算だ。

 サービス産業総連盟のパク・ビョンウォン会長は
 「1991年には韓国製造業の雇用機会が500万人だったが、2012年には410万人分まで減り、90万人分が失われた。
 内需サービス産業で画期的な成長源を確保できなければ、輸出が増えても、次の世代が国内で就職できないという状況が生じかねない」
と懸念した。

<<続く>>




レコードチャイナ 配信日時:2014年2月26日 15時34分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84022&type=0

朴大統領、経済革新3カ年計画を発表、「国民幸福時代」へビジョン提示―韓国

  2014年2月25日、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、国民に向けた談話で「経済革新3カ年計画」を発表した。
 新華社が伝えた。

★.2017年に潜在成長率を4%台に引き上げ、
★.雇用率70%を達成し、
★.1人当たり国民所得を4万ドル(約409万円)
とすることを目標に掲げた。

 朴大統領は、「国民幸福時代」に向けた核心戦略として、
★.経済基盤の強化、
★.技術革新の推進、
★.内需と輸出の均衡
を提示した。

 公共部門では、一部の機関において民間との競合や民営化を行い、公共機関の競争体制を広げ、17年までに公共機関の負債率を現在の220%から200%までに引き下げるとしている。(


 朴大統領の「経済革新3カ年計画」とのことであるが、まだ総枠だけである。
 これを実行するのにどうするかはこれからだろう。


ウォールストリートジャーナル     2014年 2月 27日 19:44 JST
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304227204579408593939649058.html?mod=JWSJ_EditorsPicks

朴大統領の経済改革案、アベノミクスに酷似
内需拡大を目指す経済改革案を打ち出した韓国の朴大統領

 韓国はこの半世紀に貧困から迅速に抜け出すため、日本の第2次世界大戦後の復興シナリオから多くを見習った。
 巨大で多様性のあるコングロマリット(複合企業)の強みを活かし、自動車や船舶、鉄鋼、電子機器の主要輸出国へと変身を遂げた。

 そうだとすれば、日韓両国が経済成長モデルの改革を試みる中、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が25日に打ち出した計画案が日本のアベノミクスに著しく似ている内容を含んでいたとしても、おそらく驚きではない。

 内需を拡大し、輸出への依存を減らす? 
 経済の機動性を高めるため官僚主義に切り込む? 
 人口減に対処するため女性の活用を増やす? 
 悲惨な未来から経済を救うための最後の試みとして計画を提示? 
 これらはすべてアベノミクスと同じだ。

 朴大統領はこの「474」計画の中に盛り込まれた改革なしに、韓国に「未来はない」と言い切った。
 韓国の国内総生産(GDP)成長率は2010年の6.3%から昨年は2.8%へ落ち込んだ。
 また、「474」とは、この計画が目標に掲げる重要な数字からとっている。
 (2017年までに潜在成長率4%、就業率70%台、国民所得4万ドルを達成)。

 アジアで改革を押し進めている国は日本と韓国だけではない。
 中国もまた、輸出主導から内需重視へと経済構造を改革中だ。
 インドやインドネシア、マレーシアは成長のバランスを取り戻し、経済をより持続可能な方向へ進ませるため、長年の懸案だった変革に取り組んでいるところだ。

 日本と韓国では、輸出主導の経済モデルが戦後の惨状から驚くほど短期間で国を復興させ、世界有数の経済大国に押し上げる一助となった。
 だが、そのモデルも役割を終え、成長をけん引する新たな原動力の模索を余儀なくされているように見える。

 ただ、日本は韓国よりかなり先を行っている。
 英金融大手HSBCによると、
★.日本の輸出は昨年、対GDP比でわずか「16%」に過ぎなかったが、
★.一方の韓国は「57%」を占めていた。

 個人消費は日本ではGDPの60%を占めているが、アベノミクスは依然として国民に支出増と貯蓄減を奨励している。
 オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)のシニアエコノミスト、レイモンド・ヤン氏は、個人消費がGDPの推定54%を占める韓国では
 「輸出への過度な依存を減らすことと内需拡大は成長への道のりをスムーズにする一助となる」
と、朴大統領の計画を分析したリポートで述べている。

 主な相違点の1つは、アベノミクスでは構造改革が「3本の矢」の1つに過ぎず、今のところ一番遅れている分野であることだ。
 最初の2本の矢――大胆な金融緩和と機動的な財政出動――が、日本の景気浮揚と活力の回復という点で、現在までの経済政策の成功に大いに寄与してきた。 

では、どちらのプランのほうが成功の可能性が大きいのか。

 英金融大手バークレイズのエコノミストWai Ho Leong氏は、
 「個人的には、韓国の改革案の方がより包括的で実行可能だと思う
と指摘。
 「構造改革という課題に取り組むための強い政治的意思がある」
とした上で、潜在成長率と1人当たりの国民所得、さらに就業率をいずれも高めていくという「目標がより明確だ」と述べた。

 朴大統領にとって障害となるのは、憲法上の問題かもしれない。
 朴大統領の任期は1期に限られており、それも2018年2月に終わる。

 HSBCのエコノミスト、ロナルド・マン氏は
 「問題は(大統領の)任期が終わる前にそれだけのことが本当に達成できるかどうかだ」
と述べている。

 By     MICHAEL S. ARNOLD


 経済オンチの大統領ができることは、パクルことしかない。
 新基軸を打ち出せるほど、韓国経済の構造は強固なものではない。
 パクってうまくいけばそれにこしたことはない。
 ただ、日本と韓国とでは経済構造が違う。
 異なる構造の上に挿し木して根付くだろうか。
 もしかしたら、びっくりするほど根付くかもしれない。
 でも予想は「ムリだろうな!」ということにおさまるのではないだろうか。


JB Press 2014.03.03(月)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40066

朴槿恵大統領、就任1年演説で打ち出した「474政策」
雇用、成長、公企業改革・・・政策課題てんこ盛りの大演説

 2014年2月25日は、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が就任してからちょうど1年にあたる。
 1年前の就任式と同じような緑色の服に身を包んだ朴槿恵大統領は午前10時からテレビカメラの前に立ち、40分以上にわたって「対国民談話」を発表した。

 朴槿恵大統領の仕事ぶりについては、韓国内では高い評価を得ている。
 支持率はどの調査でも60%近くに達し、歴代の政権と比べても高い。

 最も高い評価を受けているのが、対北朝鮮政策だ。
 「妥協せず」「原則死守」。朴槿恵大統領のこの一貫した姿勢が、高い評価を得ている。
 2013年2月に南北離散家族の会合が再開したが、これも基本的には「条件なし」を北朝鮮に受け入れさせた。
 「ぶれない」が選挙期間中から最大の売り物だ。

 一方で、原理原則を貫くのはよいが、国民とのコミュニケーション能力に欠けるという批判もある。
 また、経済政策については、政権発足1年しか経っていないとはいえ、「目立った実績がない」という不満も多い。

■大統領の「弱み」とされるコミュニケーションと経済を重視したが・・・

 このあたりを意識したのだろう。
 朴槿恵大統領は、就任1年目にあたるこの日、テレビの生放送で国民に直接語りかけることを選んだ。
 内容も「経済革新3カ年計画」。
 経済について国民に分かりやすく語りかけるという狙いだった。
 朴槿恵大統領の「弱み」とされる「コミュニケーション」と「経済」を重視したのだ。

 狙いは正しい。
 だが、筆者もテレビ中継を見たが何かしっくりと来なかった。
 なぜか。
 疑問の1つ目は、どうして午前10時なのか。
 歴代の韓国大統領もなぜか、平日午前中の会見が多かった。
 準備をする方から見れば最も都合の良い時間かもしれない。
 取材陣も、締め切りまでたっぷりと時間がある。

 でも、一体、誰が見るのか?
 筆者の周辺でもこの生放送を見ていたのは、政府関係者とメディア関係者を除いて誰もいなかった。

 もう1つは、40分以上にわたって大統領がカメラに向かって一方的に話す方式。
 朴槿恵大統領はそれが性格なのだろう。
 その間、ひと言もジョークを挟まない。
 これでもか、これでもか、と政策について語りかける。
 中身は立派だし、大統領の熱意は十分に伝わってくる。
 でも、熱心に見ていた筆者でも途中で苦しくなってきた。
 笑顔一つなく、大統領がただひたすら画面で訴えてくるのだ。

 コミュニケーション能力に問題があると言われるのに、どうして周辺の誰ももっと大統領に助言しないのか。
 あるいは、大統領がこういうスタイルにこだわるのか。

 ただ、演説内容は、参考になった。
 とにもかくにも、韓国の大統領が40分以上も経済革新計画について語るのだ。
 この演説のために、どれほどの専門家が動員され、どれほどの参考資料が作成されたか。
 韓国メディアは、財政経済部は、300ページもの資料を用意していたという。
 今の韓国経済の課題を勉強するには、もってこいの演説だった。


 「経済革新3カ年計画」については、朴槿恵大統領が2013年1月6日の就任以来初めての記者会見で言及していた。
 この日の「対国民談話」はその具体的な中身を説明したものだ。

 「経済革新3カ年計画」は、1年前に発足したこの政権の経済政策の中核となる方針だ。

 かつて、朴槿恵大統領の父親である故・朴正煕(パク・チョンヒ)大統領は軍事クーデターで政権を掌握した翌年の1962年に「経済5カ年計画」をたて、これを実行して、「漢江の奇跡」と呼ばれる高度経済成長を成し遂げた。

 父親の例にならったわけではないだろうが、朴槿恵大統領も就任2年目に「経済」を前面に押し立てたわけだ。

■潜在成長率4%、雇用率70%、1人当たり国民所得3万ドルで「474」

 大きな枠組みは、韓国メディアでは「474政策」などと呼ばれている。

 「潜在成長率を4%に引き上げる」
 「雇用率70%達成」「
 1人当たり国民所得を3万ドルに引き上げる」
――ということだ。

 実は、朴槿恵大統領は、大統領選挙期間中に、成長率目標を掲げなかった珍しい候補だった。

 前任者である李明博(イ・ミョンバク)氏は、「747政策」を掲げた。
 「年間7%成長」
 「1人当たり国内総生産(GDP)4万ドル」
 「世界7大経済大国入り」
――という勇ましい内容だった。

 ところが実際はどうだったか。
 成長率は、2~3%台にとどまり、1人当たりGDPも2万ドル台で足ぶみ。
 経済規模では世界15位前後。
 リーマンショックという予想外の事態はあったが、「747」はどれも遠い目標、選挙公約にすぎなかった。

 それどころか、経済格差がさらに拡大し、「財閥、大企業重視」との批判さえ浴びてしまった。

 これに対して朴槿恵大統領は候補時代から、年金制度や医療保険制度の改革、中小企業育成と経済民主化政策などを掲げ、どちらかと言えば分配を重視する「優しい経済」を志向した。

 韓国も急速に少子高齢化が進んでいる。
 一部の大企業に利益が集中する「経済の集中」も進んでおり、そういう意味で、朴槿恵大統領の目指す方向が間違っているという批判は少ない。

 それでも、
 「成長を軽視している」
 「経済民主化で経済界は萎縮している」
 「社会保障費の財源をどこで確保するのか、具体策が見えない」
などの指摘も受けていた。

 経済政策全体が分かりにくく、それが政権発足から1年が経過して国民の間で「経済」について低い評価となっていることも否定できなかった。

 2月25日の「経済革新3カ年計画」は、だから、3年という期限を切って具体的な目標を提示した。
 「474政策」というのはメディアがつけた名称で、現政権は「前政権のパクリ」のような印象を与えるこの表現を決して望んでいないようだ。

 この日のテレビ演説で朴槿恵大統領は、実に多くのことを語った。

 朴槿恵大統領は
 「私はIMF経済危機のとき、韓国の根幹が揺らぎ、国民が大きな苦痛にあえいだ現実を見て政治の道に進むことを決めた」
と述べた。

 また、
 韓国で急速に進む高齢化と人口の減少を「静かな災厄」だと語ったうえで、
 「経済体質を変え、非正常的な慣行を改め、低成長の絆を断ち切ることができなかったら、未来はない」
と強調した。

 そのうえで、
 「基礎が堅固な経済」
 「躍動的な革新経済」
 「内需・輸出均衡経済」
を3大革新戦略と位置づけた。

■3大革新戦略を奏功させるための具体策

 朴槿恵大統領は、具体的な対策として韓国経済が抱える多くの問題を一つひとつ例示して説明して、その対策を打ち出した。その一部を紹介しよう。

▼公共部門改革 公企業の放漫経営に厳然と対処し、負債を削減して効率的な経営を目指す。
 賄賂事件など入札に1度でも不正があれば、入札権限を2年間調達庁に全面移管する「1ストライク・アウト制度」を導入する。

▼赤字が続いて毎年多額の税金を投入している公務員、軍人、私学年金を改革する。

▼政府の財政事業を3年間で600件以上減らす。

▼大企業と下請けの不公正取引慣是正策の強化。

▼非正規職と正規職との間の不合理な賃金格差の解消。
 非正規職に対する解雇要件の強化。

▼就業者の半分以上が雇用保険に加入できないような制度の改革。
 社会保険、基礎生活保障制度の見直しで、「社会保険死角地帯の解消」。

▼青年起業家支援のための予算を7600億ウォン(1円=10ウォン)増額することなどを含め、ベンチャー企業育成に3年間で4兆ウォンを投じる。

▼世界から最高級の科学者300人を誘致する「コリア・リサーチフェロー」制度を新設する。

▼第5世代移動通信網を早期に整備する。

▼中国、ベトナム、インドネシアなどと早期に自由貿易協定(FTA)を締結する。

▼韓国企業による海外建設事業などを支援するため、輸出金融機関の資本金を3年間で2兆3000億ウォン増やす。

▼住宅金融対策などで個人負債比率を3年間で5%低下させる。

▼規制緩和で住宅取引を活性化させる。

▼各種規制を「ネガティブ方式」に変更する。
 規制には原則期限をつけて、政府の規制を大幅に緩和する。

▼職業教育の強化などで青年就業者数を3年間で50万人増やす。
 保育施設の拡充や育児休暇制度の改善などで女性就業者数を150万人増やす。

 ざっと書いただけで、こんなに網羅的な話をしたのだ。

■南北関係にまで触れる「てんこ盛り」

 朴槿恵大統領は、「経済革新3カ年計画」について触れたあと、「南北関係」についても言及した。

 1月6日の会見で、朴槿恵大統領は「統一は大当たりだ」と述べ、話題になった。

 「来年で、南北分断から70年になる(略)。
 ドイツもかなり以前から少しずつ統一について準備していた」
と語り、大統領直属の統一準備委員会を設置することを明らかにもした。

 2月25日の「対国民談話」は、かくも「てんこ盛り」の内容だった。

 雇用創出、内需と輸出のバランス、格差解消、成長戦略・・・。
 どれも韓国が抱える課題であり、的を射た内容ではある。

 当たり前だが、問題は、どう実行するかだ

■韓国が悩むアインシュタインの命題、スピード感では安倍首相が上

 「対国民談話」の翌日(2月26日)付の「毎日経済新聞」は「朴槿恵2年 アインシュタインの命題」という興味深い主筆のコラムを掲載した。

 10年前の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領、
 15年前の金大中(キム・デジュン)大統領
の就任2年目の演説の中身を紹介している。

 輸出の内需の均衡、外国人投資誘致、労使問題解決、雇用拡大・・・。
 2月25日の朴槿恵大統領の「対国民談話」とそっくり同じ内容なのだ。

 「発表内容の斬新性より国政全体を網羅した細心性に甘い点数をつけた国民が多くなかったか」。
 主筆はこう言いながらも、
 なぜ10~15年間、同じ課題を解決できないかを考えると、
 「これまでのやり方では成功できない」というアイシュタインの生前の警句
が思い浮かぶと続ける。

 計画よりも実行こそが重要で、それには強力なリーダシップが不可欠だと言う。
 主筆は、韓国で不人気な安倍晋三首相だが、「スピード感という意味では最高だ」と述べている。

 父親の朴正煕元大統領は、強力なリーダシップと圧倒的な行動力で高度経済成長を達成した。
 それから50年以上が経ち、朴槿恵大統領は、反対勢力、抵抗勢力、公務員のサボタージュ、長年の慣行にどう立ち向かうのか。
 政権の成否を決定する3カ年計画が動き出した。

玉置 直司 (たまき・ただし)Tadashi Tamaki
日本経済新聞記者として長年、企業取材を続けた。ヒューストン支局勤務を経て、ソウル支局長も歴任。主な著書に『韓国はなぜ改革できたのか』『インテルとともに―ゴードン・ムーア 私の履歴書』(取材・構成)、最新刊の『韓国財閥はどこへ行く』など。2011年8月に退社。現在は、韓国在住。LEE&KO法律事務所顧問などとして活動中。



朝鮮日報 記事入力 : 2014/03/05 08:31
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2014/03/05/2014030500600.html

【コラム】内需不況、真の主犯は経済官僚だ

 最近韓国は予想外に深刻な内需不況に陥った。
 先週末に街を歩くと、町内の飲食店や従来型の市場だけでなく、百貨店や大型スーパーマーケットでも客足が途絶えていた。
 全国1000万人のサラリーマンの懐に「年末調整」という爆弾が落ちたためだ。
 先月25日、サラリーマンの大半は通常の月に比べ数万ウォンから数百万ウォンも少ない月給を受け取った。
 ただでさえ台所が苦しいのに、急に給料が減ったので、財布のひもを締めるしかなかった。 

 本来税金が還付されるはずの年末調整で、逆に税金を支払わななければなくなった理由は簡単だ。
 李明博(イ・ミョンバク)政権下の2012年、企画財政部(省に相当)税制室が企業による源泉徴収額を平均10%減らす内容の施行令改正を行い、今回の年末調整から適用された。

 減税が伴わないまま、毎月の源泉徴収額だけが減れば、サラリーマンは月給が上がったかのような錯覚に陥る。
 当時の経済官僚は、サラリーマンの錯覚を利用し、消費を増やそうという手を使ったのだ。
 しかし、サラリーマンは源泉徴収の減少分を後で一度に支払わされる羽目になった。

 年末調整の呪いは始まったばかりだ。
 来年にはさらに大きな影響が予想される。
 最初から来年2月の給料はないものと覚悟しなければならないほどだ。
 税負担の増大はないという政府の主張をうのみにする純真なサラリーマンがいないことを願っている。

 来年の年末調整からは、課税方式が所得控除から税額控除に変更される。
 これまでは年収からさまざまな所得控除を差し引いた上で、税率を掛けて、納税額が決まっていた。
 来年からは年収に税率を掛けた後、そこから保険料、医療費、寄付金などを控除する方式となる。
 「税金爆弾」の爆発力は現在よりも大幅に強まる。

 税金爆弾から逃れる方法はただ一つ、消費を減らすことだ。
 サラリーマンが財布のひもを締めた瞬間、零細自営業者から死んでいく。
 つまり、韓国の内需市場は滅亡の悪循環に陥ることになる。

 政府はサラリーマンの財布ばかり締め上げるのではなく、時代錯誤的、非現実的な規制から撤廃すべきだ。
 例えば、1人当たり400ドル(約4万1000円)という免税限度が挙げられる。
 この規定が設けられたのは、1988年のソウル五輪当時だ。酒1本、たばこ1カートン、香水1瓶は別途計算だが、酒を飲まず、たばこを吸わないとしても、免税枠が増えるわけではない。
 日本の1人当たり免税枠は20万円で、1人当たり国民所得が韓国よりも少ない中国でも韓国の2倍の5000元(約8万3000円)に設定されている。

 韓国の免税店を利用すれば、税関で引っ掛かるため、旅行者は海外で多額の免税品を購入する。
 どれだけ愚かなのか。国内の免税店で売り上げが伸びれば、雇用も税収も増える。
 25年前の規制に縛られ、韓国人の旅行者を潜在的な脱税犯に仕立て上げ、海外での消費をあおっている現状はもういい加減にしてもらいたい。



レコードチャイナ 配信日時:2014年3月7日 9時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=84499&type=0

韓国の経済革新計画、
「さすがにビッグマウス」「竜頭蛇尾の可能性高い」―中国版ツイッター

 2014年3月7日、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は先月、経済革新3カ年計画を発表し、1人当たりの国民所得を3万ドル(約300万円)以上とし、4万ドル(約400万円)時代への足掛かりにすると語っている。
 これに対し、日本では、
 「朴大統領は反日外交に奮闘し、
 経済面では大した成果は見られていないため、内需不振の解消は難しい
と指摘する声も聞こえている。
 中国版ツイッターにも関連のコメントが寄せられている。

●.「国民により選ばれた大統領。
 一般的には当選時の支持率がピークでその後は下降するのだが、朴大統領はその常識を打ち破ったのだ。
 今後に期待だ」
●.「朴大統領が経済に力を入れるのは正解だと思う。
 なぜならそれは国民の幸福の基礎だからだ」
●.「中国にも同様の計画はあるが、最も注目すべきは物価だろう」
●.「1人当たりの国民所得が4万ドルか、中国が統計を取ればあっという間に実現するだろうな」

●.「朴大統領は気概があり、カリスマ性を持つ女性政治家だと思うが、国民所得を4万ドルだなんて、いくらなんでもビッグマウスだろう」
●.「韓国政府は3カ年計画の結果を早急に求めている。
 しかし、同計画は、韓国の国政の課題や経済関連の計画と複雑に絡み合っている。
 そのため、同計画は竜頭蛇尾になる可能性が非常に高い」



【「反日という媚薬」に蝕まれる韓国】


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